兎月メイ
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冬の着物。ウールの着物まとめ

最近割と積極的に骨董市やアンティーク着物屋さんなどに顔出すことが多いのですが、季節柄かウール着物もよく見かけます。

アンティーク着物でも昭和の中盤以降に作られたものが多いせいか、割と私の丈に合うものが見つけやすい(身長161cm)。これまでに冬の防寒としてインナーやアウターなどを書いていきましたが、暖かい着物の代表格であるウールの着物についてはまだ語ってなかったので自分なりに調べてまとめてみたので興味がある方は是非♪

過去記事はこちらから

羽織で気をつけること
冬の着物。防寒対策と着こなし【アウター編】冬の着物の防寒について、着物アウターや防寒草履について語ります。...

ウール着物とは

ウール着物とは羊の毛を平織りにして織った着物の事です。メリンス、あるいはモスリンとも呼ばれますがどちらもウールのことです。

ウールの着物の歴史は昭和初期に遡ります。当時着物は日常的に着られていましたが、多くの着物は機織機で織られていました(出典:データーベース「えひめの記憶」)。そこへ洋服のウール機織りで作られたウールの着物が登場し、他の着物よりも簡単に作れる手軽さ、また絹に比べリーズナブルなので当時広く愛用されました。特に羽織と合わせたアンサンブルは、お正月の衣装として人気だったそうです。

ちなみに昔は着物を家庭でお手入れやお直しがすること普通だったので、良く着る機会のあったウール着物は縫いやすいように単衣に仕立てることがほとんどでした。

昭和50年頃を境に一時衰退していきましたが、現在は着物の有名ブランドもふたたびウール着物をつくっており、再び人気が出てきています。

ウールの着物は秋から冬、春と3シーズン着られる普段使い用の着物で、洗濯もできるので広く親しまれています。

夏に特化した生地が絽や紗なら、冬の寒さに特化した生地はウールといっても良いと思います。

ウール着物のメリット

ウール着物は軽い・滑らない

ウールの着物は絹に比べるとやや重みがあるため基本的には裏地の無い単で仕立てられます。また昭和の時代は家でお直ししていたため、よく着ていたウールの着物は縫いやすいように、という説もあります。

昔のウールは純度の高いウールがほとんどなので保温性に優れていて、単仕立てでも十分真冬でも暖かいです。そして単なので結果的に袷の着物よりも軽く着られるという。

ちなみにウールは滑らないので、個人的意見ですが着やすい&着付けがしやすいです。帯が滑らないので・・・

兎月
兎月
帯を締めているところ。帯が固定される感じが好き♫

自宅で洗濯可。お手入れも簡単♫

ウールのセーターと同じように、おしゃれ着洗いでご自宅でお洗濯できます。

ウールは汚れにくくてかつついた汚れが落ちやすいので、ちょっとしたシミであればその場で汚れた部分を固く絞った布やティッシュで叩いたり、汚れ部分を水で洗うと大抵の汚れは落ちます。

洗濯機で洗う場合は中性洗剤かおしゃれ着洗い用の洗剤で手洗いor洗濯ネットに入れておしゃれ着洗いコースでOKです(※お湯ではなく水洗いだと繊維が縮まるのを防ぐことができます。)。

脱水を長くかけてしまうと生地が傷んだり縮んでしまう可能性があるので、脱水時間は30秒ほどにしておきましょう。

脱水後はハンガーにかけて、日の当たらない風通しのいい場所で干しましょう。干し終わった後にシワが残るようであれば、アイロンで伸ばせば大丈夫です。

ただし正絹が混ざっているシルクウールなど自宅洗いが難しい場合もあるので、その場合は専門の業者にクリーニングに出しましょう。またアンティークものは素材表記などがないため、異なる繊維が入っていたり、また染色された方法によっては縮み・色落ちする場合も。心配な場合は目立たない部分で試し洗いをするか、やはり専門の業者に相談してみてください。
ウールは虫食いされやすい素材なので収納する時はカビにならないように湿気をしっかり取り、防虫剤を上にのせて保管しましょう。

水に強くシワになりにくい。雨の日の外出、旅行、食事に!

ウールは撥水性が高く汚れも染み込みにくいという特性があります。そのため雨の日のお出かけやアウトドア、ちょっとした旅行などにも最適。普段使いとしては最適な素材です。

自宅でお洗濯できるカジュアルアイテムとしては木綿の着物やポリエステルの着物と同じですが、ウールはシワになりにくいのが特徴で、きちんとたたんで収納すればアイロンは不要!小さく折りたたんで収納できるので、旅行用としても重宝します。

メリットまとめ

価格が安め
ふんわりとした優しい肌触りで着心地が良い
他の普段着物に比べ、軽い(単仕立てがほとんどなので)
保温性が非常に高く、暖かい。(木綿や正絹も保温性が高いが、ウールには敵わない)
ウールのセーターと同じで、オシャレ着洗いでお家でお洗濯OK。
シワになりにくく水にも強く丈夫なので普段着着物に最適。
ナチュラルな風合いからエレガントな大人カジュアルまで色柄のバリエーションが豊富&色彩が美しい
秋から冬、春と3シーズン着られる
天然素材であるウールは湿度を適度に調節してくれるので、蒸れることなく気持ちよく着ることができる(同じ天然素材である正絹の着物も着心地が良い)

ウール着物のデメリット

デメリット

  • お湯に弱い(縮んでしまう)
  • ウールなので虫に食われやすい。保管時は防虫剤が必須!
  • 一般的にもっともカジュアルとされるので結婚式などのフォーマルな場には不向き(セーターと同じ感覚)

ウール着物の見分け方

一番わかりやすいのは、触ってみる方法です。毛織物なのでセーターのように細い糸が何本も毛羽立っており、手の甲で生地を触ってみると、ザラザラとした感覚がします。正絹やポリエステルのようにつるんとしていたり、あるいは絹独特の光沢がありません。

それでもわからない場合は、飛び出ている裏側の端の生地や糸を小さく切り取って、軽く燃やしてみるという方法もあります。

こちらの動画が参考になるかもしれません。

アンティーク着物にはウール100%のものが多いですが、昨今のウール着物は絹を織り交ぜたシルクウールも多数出ています。シルクウールはしなやかで肌触りがよく、光沢も生まれるので高級感がでます。さらにご存知のように絹には虫食いの心配が無いので防虫効果も期待できます。木綿が織り込まれているコットンウールもあり、木綿の素材に暖かさが加わった着物なので気軽にお出かけすることができるといった特徴があります。

ウール着物の着こなし

基本カジュアル着なので、特にルールはありません。強いていうなら、礼装用では無いので、それっぽくなってしまう着方だけ避ければ大丈夫です。

帯は何が良い?

カジュアル着物扱いなので、金糸銀糸無しの名古屋帯 or 半幅帯が向いているとされています。

名古屋帯の柄によってはシックに、ちょっとしたお出かけ用に。半幅帯ならよりカジュアルに日常的に着れると思います。染め帯・織帯・色柄は自由で良いと思いますが、金糸・銀糸があると一気に礼装っぽくなってしまうので無し、またはあってもごく控えめな方がオススメ♫

帯の材質については、半幅帯ではどんな素材でもOK。名古屋帯では、ウール・綿・化繊がカジュアルなウール着物には似合うと思います。

帯揚げ&帯締めは?

基本カジュアルなので何でもOKですが、帯締めが平帯だとやはり礼装っぽくなるので、丸帯でおしゃれなものが合いそうです。丸帯なら半幅帯でもいけそうですね。

ちなみに私は最近ウールでカジュアル着物デビューしてから半幅の魅力に取り憑かれています。。。帯揚げ、帯枕が要らない手軽さ! 吉弥締めの便利さ!そして丸帯、三分紐、帯留めでしっかり可愛いという隙のなさ。半幅帯、オススメです。

襦袢は?

ウールの下に着るので、ポリエステルなどの化繊の場合は静電気がおきやすいです。モス(=ウールのこと)や正絹の素材にした方が静電気は起きにくく、暖か。袷仕立てならさらにポカポカ♫ 長襦袢の色に関しては、カジュアルシーンに着用するので好きな色で大丈夫です。

アウターは何が良い?

冬に着られることが多いウールの着物。同じウールが使われているポンチョやコートだと同じ素材同士なので静電気が起きにくいので重宝します。

ウールの単着物と羽織をおそろいで仕立てたアンサンブルは、昭和レトロ着物スタイルの定番!羽織だけを別の着物にあわせても素敵ですね。

まとめ

ウールの着物は新たな街着として注目を浴びつつあります。

暖かで、洗濯できて、柄も豊富。裏地がなくそのぶん仕立て代も安いし、裏地がないのでお手入れも楽ちん♫。夏以外の3シーズン着れるという汎用性の高さ。

着物初心者さんでも、気軽に始められる素材だと思います。

この機会にウールの着物、トライしてみてはいかがでしょうか。